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平均貯蓄額、「平均」の意味
平均貯蓄額とは各人の貯蓄額を足した金額を人数で割ったものです。
現在の貯蓄額は持てる者と持たざる者と二極化しているので、持たざる者にとって驚くほど高い数値になるのです。
この現実とのギャップを埋めるのが平均値でなく中央値なのです。 中央値とは数値を小さい順に並べたときの真ん中の値です。
例えば11人の人が10人40万円、1人だけ1800万円貯蓄を持っていた時の
平均値:{40万円×10+1,800万円×1}/11人=1,100万円
中央値:小さい順に並べた真ん中6番の数値は40万円
このように貯蓄額の分布が偏っていると、平均値と中央値が大きく離れ、実態は中央値に近い値になります。
貯蓄額の分布が極端に貯蓄額の多い少数の人と、貯蓄額が微々たる大多数の人が現状なので、「え~っ」と驚くのだと思います。その実態数値を次に紹介しましょう。
厚生労働省「各種世帯の所得等の状況」資料(平成25年度)からわかること
次の表は厚生労働省「各種世帯の所得等の状況」です。
数値は「貯蓄」のデータなので、貯金以外金融資産(株・個人年金・生命保険)すべてが入って
います。
全世帯 | 高齢者世帯 | 児童のいる世帯 | 母子世帯 | |
総数 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
貯蓄なし | 16.0 | 16.8 | 15.3 | 36.5 |
貯蓄あり | 79.5 | 77.9 | 81.0 | 60.6 |
50万未満 | 4.9 | 3.9 | 4.8 | 12.7 |
50~100万 | 3.9 | 3.3 | 4.9 | 7.7 |
100~200万 | 7.6 | 6.3 | 10.2 | 11.2 |
200~300万 | 6.2 | 5.4 | 7.9 | 3.8 |
300~400万 | 6.0 | 5.0 | 7.7 | 3.7 |
400~500万 | 3.3 | 2.8 | 4.6 | 3.5 |
500~700万 | 9.0 | 8.2 | 10.9 | 6.0 |
700~1000万 | 6.2 | 6.2 | 6.9 | 2.8 |
1000~1500万 | 8.3 | 8.4 | 7.6 | 3.0 |
1500~2000万 | 4.8 | 5.6 | 3.1 | 0.7 |
2000~3000万 | 6.2 | 7.1 | 4.1 | 0.6 |
3000万円以上 | 9.1 | 11.6 | 4.4 | 1.7 |
貯蓄あり額不詳 | 3.9 | 4.0 | 4.1 | 3.1 |
不詳 | 4.5 | 5.3 | 3.7 | 2.9 |
1世帯あたり 平均貯蓄額 |
1047.0 | 1268.1 | 706.7 | 263.8 |
この表から高齢者は一般に貯蓄額が多いものの、意外と貯蓄額の少ない高齢者も多いのです(500万円以下27%)。2極化が進んでいるといえます。
一方全体でも700万以下が41%、不詳分を織り込むとほぼ半数になるということです。
平均値1,047万円より明らかに低くなっています。
つまり公表される平均値は高めに出ているとデータは物語っています。
中央値で見たほうが実態を表しているといってよいでしょう。
マイナス金利時代どうやって貯蓄額を増やしたらいいの?注意点は?
今年2月日銀がマイナス金利を導入しました。 庶民が預金してマイナス金利になることはありませんが、普通預金・定期預金の利息はさらに低下しました。
普通預金だと100万円預けて各銀行の平均利息が10円といった、預けることがばからしい状態になりました。
また100万円定期預金にしてもせいぜい利息が100円です。
貯金してお金が増えるといった状況ではなくなってしまいました。
しかしよく考えると、銀行預金は1,000万円以下の貯金に対して、元本が保証されリスクがなく、金利も一応ついています。まずこの制度は第1に活用すべきです。
また郵便貯金は1,300万円まで利息が付き、それを超えた分元本は保証されますが、利息は付きません。平均金利は銀行・郵貯ともほぼ同率です。
国は庶民の財産形成に繋がるような、元本保証かつ有利子の預貯金制度を作っています。
また個人向け国債も元本保証で金利も0.05%が保証されています。
さらに株式(リスクはあります!)でもNISA制度があり、売却益・配当金は一定額の株式投資では非課税です。
優遇された預貯金・個人向け国債、次いでNISA制度の株式にはお金を貯めてでも、つぎ込んで財産を増やすべき、すなわち貯蓄を増やすべきです。
財産形成の難しい時代、されど何もしなければジリ貧になるだけ!
景気は循環するといわれます。しかもそのサイクルには色々いろいろな名前が付くほどで定説はありません。3年前日本ではデフレ脱却をうたって「安倍のミックス」が鳴り物入りで導入されました。
黒田日銀総裁の「金融緩和」バズーカー砲も初期には効果がありましたが、今では弾切れといってよく、今年になって新たにマイナス金利という弾を発射しましたが、効果のほどには賛否両論あります。まさに手詰まり状態です。外部環境も中国の景気減速・ブラジルなど新興国の経済不振と貿易立国の我が国にとって逆風が吹いています。
このような環境下で、一般個人の財産形成は大変難しいといえます。
それでもじっと我慢をしている中、次の手を考えることだけは忘れてはなりません。
例えば、預貯金に若干の余裕資金があれば、株式に回し、NISA制度を使って安いところで買うというのも一つの方法でしょう。株式の配当利回りは、明らかに預貯金平均利回りの
200~800倍もあるのです!また投資信託も同様です。貯蓄を増やす大切なツールです。
株式はインテリの博打という人もいますが、決してそうではありません。
優良株をしっかり見定め、「安い時に仕込む」のです。じっくり持って高値が来たら売り抜けます。
「安い時に買って高い時に売る」という永遠のテーマに向かって研鑽を積むのを「知的博打」というのなら止むをえませんね。
まとめ
平均貯蓄額の平均は 多くの人にとって偏っており、むしろ中央値貯蓄額で表示した方が実態に近いのです。
平均貯蓄額に自分の蓄えを近づけるには、元本保証の預貯金をしっかり活用し、次いでNISA制度を活用した株式投資も考えるべきでしょう。